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アラブのメッカが消える日
| 1月3日、園田競馬場は雨が終日降りしきる生憎の空模様。 そんな中、今年をもってアラブ限定戦が最後となる園田の年始 の名物レース、新春賞が行われました。 頭数は11頭。兵庫を代表する名馬・ワシュウジョージをはじ め、昨年のアラブグランプリの覇者・ミスターサックスやクール テツオー、ハッコーディオスらが参戦。 レースはハッコーディオスが逃げたところ、3コーナーからソレ イケイチマツが捲ってくる展開、さらに終始好位置をキープして いたミスターサックスが直線力強く抜け出して快勝。2着ソレイケ イチマツ、3着マサノライデン。ミスターサックスが勝ったとはいえ、 「アラブに本命なし」という昔からの「格言」通り、波乱の結果とな りました。 さて、園田といえば、アラブというイメージが極めて強い印象が あります。 関西の地方競馬といえば廃止された春木、大阪(長居)もアラ ブ限定で、わずかに紀三井寺だけがサラブレッドを走らせていま した。他の地区では福山などを除いてアラブ・サラ混合が普通の 中、ある意味「国営(中央競馬)とは違う」風情を佇ませていたの が園田競馬の特徴でした。 タガミホマレ、タイムライン、スマノダイドウ。特に「世紀の2強」 とさえ言われ地元ファンの誇りさえ感じられたタイムラインとスマノ ダイドウの一騎打ち時代であった昭和40年台後半、園田競馬は 最盛期を迎えます。その頃の園田といえば中央競馬に匹敵する くらいの人気を誇っていたのです。 ところが、昭和49年、両雄があいまみえたレースにおいて大規 模な「騒擾事件」が起こります。園田事件です。 スタート時、タイムラインとスマノダイドウのゲートだけが開くの が遅く、そのため2頭は大きく出遅れ、懸命に追い込んだものの 3着、4着が精一杯。2頭が連対を外したため、2万2000円台 の「大穴」となりました。 ところがです。あとになって主催者側が「このレースで不正行為 の疑いがある」として不成立を表明。これに怒ったファンが穴場に 「殴り込み」をかけ、機動隊を出動させるなど大規模な騒擾事件に まで発展。その後開催は暫く中止。あまりの騒動に「もう園田競馬 を廃止しろ!」という地域住民の運動まで根強く残り、さらにその 後、園田競馬の人気は急速ともいうべき速度で落ちていきます。 しかし、その後の兵庫でもビソウエルシドやシルバーブリット、 インターロッキーやフェイトスターなどの名馬が誕生。「アラブのメ ッカ」の名にふさわしい盛り上がりは維持していました。 だが、中央競馬がオグリキャップらの登場によって「第二次競馬 ブーム」を引き起こしたのとは裏腹に園田競馬の人気は上がらず、 おまけにアラブの生産頭数が年を追う毎に激減する傾向にある中、 「聖域」を守ってきた園田でもついに’99年、「サラブ」導入の運び となりました。 「園田のサラブは向こう10年アラブにかなわんわ」と当初は懐疑 的な目で見られましたが、サラブ導入3年目でロードバクシンが統 一グレード戦である「兵庫チャンピオンシップ」を優勝。その後、「3 冠馬」となりました。 しかし、実力ではまだまだアラブはサラよりも上だと示したのが一 昨年の園田金盃並びに昨年の兵庫大賞典。特に兵庫大賞典では ロードバクシンら兵庫のサラ勢がほぼ「オールキャスト」で挑んだに もかかわらず、わずか2頭しかいないアラブのサンバコールが優 勝。場内は大きな歓声に包まれました。 そうやっていって、アラブVSサラという図式が展開、今後も違った 意味での園田競馬が楽しめると思いましたが、どうやら主催者は アラブ限定の重賞を今年はアラブ優駿だけに限定、そのアラブ優 駿も「全国」の名が消え、兵庫限定にします。 つまり、アラブをどんどん締め出し、ついにはアラブそのものを消 滅させようという意図が伺えます。 だが、果たして兵庫の競馬をそうやっていって果たして人気向上 に繋がっていけるかどうかといえば疑問があります。 1月3日のレース、アラブ限定はわずか3レース。しかし、場内か ら聞こえる声は「取っても取っても儲からんわ。」といった声ばかり。 おまけにサラ限定のレースでは行った行ったという味気ないレース ばかりでした。盛り上がったのはアラブの条件戦。8Rで馬単万馬 券となったときでした。 サラ限定ともなれば中央と条件が同じとなってしまう上にスピード が重視されるレースとなります。しかし、そうなれば馬のレベル云々 の問題が生じ、よりレベルの高いレースへとファンが流れるのは当 然至極のことです。 地方競馬は今、衰退の一途を辿り、毎年廃止する場が出ていま す。それは、明らかに地方競馬に魅力が失われているというサイン です。ばんえい競馬が厳しいホッカイドウ競馬の中でも健闘してい るという話が伝えられていますが、中央にはない競馬、それを伝え ていくことこそが地方競馬の魅力なのではないのでしょうか。 数々の歴史に残る名馬を残し、「アラブのメッカ」と謳われた園田 ・姫路競馬からもうまもなくアラブの名が消えます。そしてそのとき、 果たして園田競馬はあのかつての盛り上がりを蘇らせることができ るのか、そのことが非常に興味深いところです。
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