第461号
2003年12月28日(日)

 「公営競技はどこへ行く2003年10大ニュース 5」

A 「いよいよ2003年公営競技10大ニュースの栄えある第一位は5月16日、

  津競艇で起こった「誤審」事件。ところが、こんな「大事件」が発生したとい

  うのに地元のローカルニュースすら取り上げないという不思議さ。しかしその

  「悪質」ぶりには今でも怒りが収まらない。」

B 「唯一、「スクープ」記事として掲載した中日スポーツの記述はこうだ。

  津市の津競艇は16日、レースの失格をめぐってファンが抗議し、最終レース
  後に主催者に説明を求めて騒然とする一幕があった。
 
  問題となったのは第8レース。同競艇場によると、6号艇(岡孝)を転覆させた
  として4号艇(小川忠良)が失格になった。しかし、実際に6号艇を転覆させた
  のは2号艇(小林一生)だったという。

  第8レースの後に判定が出た後、ファンからの抗議が殺到し、審判側は最終
  12レース後に正式に説明すると発表。その場は一時落ち着いた。

  最終レース後、審判側が「4号艇の失格は誤審。申し訳ない。しかし、確定した
  説明は覆せない」と説明すると、50人ほどのファンが「納得がいかない」競艇
  場ロビーに集まり、一時、騒然とした雰囲気に包まれた。しかし、午後9時ごろ
  には、一部を残して最終のバスで帰宅した。

  確定した発表では、入賞は1、3、5号艇。4号艇が失格にならなければ1、3、
  4号艇が入賞だった。


  そして、このときのメンバーは。

           ◎1 馬袋 義則  30 兵 庫
             2 小林 一生  61 福 岡
           △3 宮迫 暢彦  34 大 阪
            4 小川 忠良  58 埼 玉
           ○5 伊達 正利  28 静 岡
           X6  岡  孝    46 徳 島
 
              (予想は中日スポーツ)

  昭和25年、廃止された甲子園競輪場が「鳴尾競輪場」と名乗っていたときに

  「鳴尾事件」という競輪史上に残る大騒擾事件が発生したが、そのときと経緯

  はよく似ている。ただ違うのは「誤審」ではなかったということくらい。鳴尾事件

  のときは当時12レース制でその10レースに本命選手のクランクピンが外れて

  その選手はレース続行不可能とサインしたがレースはそのまま進められて結

  果「万シュー」。だが、主催者側は何事もなかったかのように「議事進行」しよう

  としてレースは一応12レース滞りなく終了。ところが判定に納得できなかった

  ファンが10レース確定後から騒ぎ出しており、最終レース終了と同時に「暴徒」

  と化した。警察がすぐに出動する騒ぎに発展したが、それでも暴挙は収まらず、

  ついにはあまりの騒ぎのため、警官がついに「威嚇射撃」に打って出て上空めが

  けて「発射」。その「流れ弾(当時のマスコミは警官が狙い撃ちしたという記述を

  していたが)」が一人のファンに当たって死亡。「警官の野郎が殺しよった!」と

  なってますます騒ぎはひどくなり、警察では埒が明かなくなったことからついには

  滞駐米軍を発動させる始末。漸く翌日の深夜未明に騒ぎを収めたというものだっ

  た。そしてこの事件発生後まもなくして全国の競輪場の開催を3ヶ月間自粛。マス

  コミ各紙はこぞって競輪廃止論を大々的に展開。そしてこの「鳴尾事件」が契機

  となって「鳴尾」という地名のイメージが著しく悪くなったことから鳴尾市は西宮市

  に「吸収合併」を余儀なくされた。鳴尾競輪を廃止しようという動きも出ていたが

  「甲子園競輪場」と名称を変更することで一応存続。しかし、この事件後、12レー

  ス制をやめさせられたり、のちに河野一郎農林水産大臣が「公営ギャンブルの開

  催は土日に限定させるべき」という動きに出るなど爆発的人気を誇っていた競輪

  に著しく不利な展開を誘っていってしまった。」

A 「ま、時代背景が違うからと言われればそれまでだが、もし津の誤審事件が鳴尾

  事件と時を同じくに発生していたとしたらもっと凄い騒ぎとなっていただろうし、下手

  をすると審判がファンに「殺されて」いたかもしれない事件。それくらいに「悪質」。

  もちろん、鳴尾事件よりも質が悪い。ところがだ。鳴尾事件の際は大々的に「競輪

  いますぐ全廃せよ!」と論じたはずのマスコミ各紙がなぜか津の誤審事件につい

  ては一切報道しないという「体たらく」ぶり。唯一、中日スポーツが「スクープ」と銘

  打って報じたわけだが、上記の記事を見る限りただ「うわべ」の経緯を書いている

  だけ。これでは事の重大さが伝わってこない。」

B 「お馴染み「週間レース」という公営競技の情報誌があるが、小倉競輪祭での偽造

  車券換金ニュースは2003年10大ニュースの8位にランクさせている。ところが津

  の誤審事件についてはその事件すら一切掲載させていない。競艇関連情報誌も

  「マクール」が申し訳なさしげにベタ記事を載せている程度。よってこの事件につい

  ては「隠蔽」「抹殺」させようと裏で何らかの「工作」がされているとしかいいようが

  ない。だから余計に「怒り心頭」!」

A 「当然のことながら当事者の津競艇に「罪の意識」など毛頭ないであろう。鳴尾事

  件並みの大事件でありながら翌日以降何事もなかったように開催を続行させた挙

  句、翌開催で木村厚子選手の事故死を招いた。大事をそのままにしておくとまた次

  の大事が発生するということは競艇のみならずどの社会でも同じこと。なのに津競

  艇の「無神経ぶり」には開いた口が塞がらないというか、誤審をしているのに主催者

  側の釈明会見すら行われない有様。そしてこれは誤審ではなかったけど、その後ま

  たもや判定を巡っての「トラブル」があったらしい。「誤審監査」と称して津の周年記

  念最終日に来場したときにおっさんのファンから聞いた話だが。」

B 「津競艇のその後の売り上げとか見ているけど売り上げが1億円を切ることがしばし

  ばある。やはり誤審後の影響が出ているのかな?」

A 「そうだろうね。津競艇場自体は施設が抜群にいいところであるのに勿体無い話だ。

  しかし、こんな大事件に対して競艇関係団体が「アンタッチャブル」ということは競艇の

  体質を疑わざるを得ない。そして今年、競艇界は不祥事事件が連発。その「頂点」と

  もいうべき事件がこの誤審事件だろう。」

B 「そして、マスコミの対応というか、なぜほとんど取り上げなかったのかが不可解。確

  かに鳴尾事件は死者が出たりするなどそのインパクトは津のものとは比べ物にはな

  らないかもしれないが、津の場合は「誤審」という絶対にやってはならないことを起こ

  し、しかもその事実を一旦は何事もなかったかのように見過ごさせようとした。鳴尾事

  件の場合も「不正レース」の疑いが持たれるにせよ、不確かなものだし、また選手が

  やり直しを要求しても許されるものではないことはいうまでもない。しかし津の場合は

  審判側が後になってからだけどはっきりと誤審を認めている。本来なら津のほうがよっ

  ぽど悪質ではないのか。当然のことながら「ペンのプロの目」を期待したいところ。それ

  が全然ないということは一体どういうことなのか?これは日本のマスコミ全体に対する

  問題といえまいか。」

A 「ま、インターネットの発達が進んで予想なんかも記者のものよりも一ファンのほうが

  信頼できるとかいうケースも増えているからね。加えて競馬の専門紙の売り上げもピ

  ーク時よりも「激減」しているらしい。これが他競技であれば経営も四苦八苦の状態な

  のではないか。つまり、公営競技に対するマスコミへの信頼度は著しく低下していると

  言わざるを得ないばかりか、本来知りたい聞きたい事柄がなおざりにされていることは

  由々しき問題。津の誤審事件は当事者のみならずその媒体者であるマスコミへの不

  信感を募らせるだけという事実も浮き彫りにしたわけだ。」

B 「以前取り上げたが、今年8月、西部警察のロケ中に俳優が運転を誤って観客に怪我

  をさせるという事件があった。そこで石原プロモーションの渡哲也社長は事故翌日入院

  中の観客を見舞った際、すぐさま事故をおこした俳優とともに「土下座」。さらにこのよう

  な事故を引き起こした以上西部警察を放映させるわけにはいかないとして製作の中止

  も記者会見で行った。そして渡社長の取った行動に対して「製作を続行してくれ」という

  声が圧倒的に多かった事実も明るみになった。さらに、怪我をさせられた患者たちも「渡

  社長の誠意は十分すぎるくらい伝わった」と本来なら責任者である渡社長に対して怒号

  が浴びせられてもおかしくないというのに逆に「こんなことに懲りずに製作は続けてくだ

  さい」と激励されるという一幕も。事件を起こしたことは良くない。しかし、それに対する素

  早い行動と誠意ある対応、このことが逆に加害者を被害者が「庇おう」という態度に一転

  させることがあるということがあったことは記憶に新しいところ。その対極がくだんの津の

  誤審事件といえるだろう。そして世の中はどうしてこんなに「不合理」にできているのかと

  思うと悲しいくらいだが、西部警察は「放映してくれ」という声が大きかったにも拘らず、

  渡社長の意思は固く製作は中止され、西部警察の放映もされなかった。一方、津競艇

  はといえば何事もなかったように開催されている。どっちがその対応がいいかといえば

  間違いなく前者だろう。競艇関連団体の危機管理能力の欠如、事の重大さを認識しよう

  としない主催者側の無責任さ、そしてその事実に触れようともしないマスコミ。津の誤審

  事件はあらゆる角度から見て今後も語り継がねばならない大事件であったことはいうま

  でもない。そして、こんなお粗末極まりかねない競艇にお金をせっせと投じてくれるファン

  をないがしろにしていることはいうまでもなかろう。そして長い目で見れば、津競艇は大

  変深刻な事態を引き起こしかねないのではないか。今後もそういった目で津競艇を見て

  いきたい。」
                       (続く)
 



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